国税専門官とは
国税専門官は、大学卒業程度の国家II種相当公務員です。ほとんどの人は、税務署や国税局で、税務調査、滞納処分、申告・納税指導を行っています。
一部の人は、国税庁で、税務署や国税局の事務運営等を行います。他省庁に出向したり、2,3年間、海外に出張する人もいます。
基本的には、税務署や国税局では、高校卒業程度の国家Ⅲ種相当職員、国税庁では、キャリアと呼ばれる国家I種職員と働きます。
国税専門官は、各国税局で採用され、最初は局管内の税務署で働きます。一連の研修が終わり、国税局や国税庁に異動する人が出てきます。
合格倍率は4.6倍(平成30年度)で、採用者数は1,109人(平成29年度)です。30歳くらいまで受験資格があります。
10年ほど働くと、税理士試験の税法3科目が免除、23年ほど働くと、税理士試験が免除になります。
国家II種相当公務員ですが、給料は行政職より1割ほど高いです。
国税専門官が受ける研修
国税専門官は以下の一連の研修を受けます。研修制度は充実しており、研修中は給料も出ます。
採用後、4月から3か月間、和光の税務大学校で、簿記、各税法等の専門官基礎研修を受けます。
基礎研修の後、7月から1年間、税務署の管理運営部門で内部事務を行います。
翌年の7月に個人課税、資産課税、法人課税又は徴収の系統に配属が決まり、これ以降は、この系統で仕事をしていくことになります。
配属が決まった後、2か月間、国税局ごとに研修所で、調査等の外部事務の専攻税法研修を受けます。
専攻税法研修の後、約2年間、税務署で調査等を行います。
2年後、8月から7か月間、税務大学校で、各系統の税法、簿記会計学等の専科研修を受けます。
その後、しばらくたってから、全員が対象ではありませんが、国際科、専攻科等の研修を受ける人もいます。
国税専門官の職名
一連の研修が終わると、国税専門官には以下の職名が付きます。国税査察官は、国税局にしかいません。
- 国税調査官:適正な申告が行われているかどうかの調査、申告指導を行います。
- 国税徴収官:税金の督促や滞納処分、納税指導を行います。
- 国税査察官:裁判官から許可状を得て、強制調査を行い、検察官に告発します。
国税専門官を扱ったドラマ、映画
- マルサの女:1986、監督伊丹十三、主演宮本信子
- ナサケの女~国税局査察官~:2010テレビ朝日、主演米倉涼子、監修大村大二郎
- チェイス~国税査察官~:2010NHK、主演江口洋介
- トッカン~特別国税徴収官〜:2012日本テレビ、主演井上真央
国税査察官を扱ったものが多いです。
査察官が最初から調査するイメージを持っていると思いますが、実際は、国税調査官が調査した後、査察官が引き継ぎ、告発するケースが多いです。
元国税専門官の有名人
- 山村紅葉:女優、大阪国税局採用、2年ほど勤務
- 大村大二郎(ペンネーム):評論家、どこの局の採用か不明ですが、大阪出身、10年ほど勤務
- さんきゅう倉田:芸人、東京国税局採用、2年ほど勤務