税理士試験の合格者数は減っているにもかかわらず、税理士の登録者数は増えています。
国税OBと呼ばれる、税務職員を退職して税理士になっている人が増えているからです。
税務職員の人数の推移
実際の職員数ではありませんが、定員数はこのようになっています。
平成24年 | 56,194 |
平成25年 | 55,856 |
平成26年 | 55,790 |
平成27年 | 55,703 |
平成28年 | 55,666 |
平成29年 | 55,667 |
平成30年 | 55,724 |
令和元年 | 55,903 |
数字を並べただけでは、よくわかりませんので、グラフにしてみます。

減少傾向にありましたが、ここ最近になって、増加し始めています。
団塊世代が退職していますが、採用人数を増やしてきている結果、増加に転じています。
スマート行政を目指す国税庁として、定員数を増やしているのは矛盾しているように思えます。
税理士の人数の推移
税理士の登録者数はこのようになっています。
平成27年 | 75,643 |
平成28年 | 76,493 |
平成29年 | 77,327 |
平成30年 | 78,028 |
令和元年 | 78,795 |
毎年約1,000人ずつ増えてきていることがわかります。
グラフにすると、きれいな比例直線が描かれます。

過去の5年ごとの登録者数も載っていたので、グラフにしてみます。

過去から増加してきており、近年ゆるやかになっているものの、依然増え続けています。
税理士試験の受験者数、合格者数は近年減り続けています。
それでも、団塊世代である税務職員が退職して、税理士になっていることが、増えている要因とみられます。
税務職員と税理士の人数の推移からわかること

私の同期の国税専門官は約1,000人いますが、今の採用人数は1,500人です。
税務職員(高校卒業程度)の人数をあわせると、税務職員は約2,000人になります。
今後退職すると、税理士が約2,000人増えるということです。
税理士試験の合格者数は減り続けており、令和2年の合格者数は約650人です。
退職した税務職員が税理士になっているため、税理士の登録者数は増えています。
税理士の人数が増えるのは、顧客獲得争いが厳しくなくることにつながります。
独占業務である税理士業にこだわると、生き残れない税理士が今後更に出てきます。
特に、縦割りの税務行政の中で、一つの税目に携わる仕事しかやっていない税務職員は厳しい環境の中で税理士として活動していくことになります。
そうならないためにも、自分が特化したスキルで職務を多様化させる必要があります。
その手段が、ブログ、執筆、セミナー講演による情報発信です。