公務員の不動産投資で、許可を得る必要がある場合は、5棟10室以上、または、家賃収入500万円以上です。
それ以上は必ず許可が必要で、利益関係がなく、業務の遂行に支障がないと判断されれば、認められることになります。
認められないと、不服申立てをすることができます。
公務員の不動産投資で許可がいらない場合の3つの条件
以下の3つの条件を全て満たす必要があります。
不動産投資の規模が「5棟10室未満」
5棟未満と10室未満の両方を満たす必要があります。以下ではなく、未満ですので注意してください。
戸建てのみは4棟まで、アパートのみはアパートの部屋数が9室まで、貸し付けることができます。
戸建て1棟と、8室のアパート1棟の両方を貸し付ける場合はどうなるでしょうか?
「戸建て1棟をアパート2室に換算」することになっているので、合わせて10室となり許可を得る必要があります。
不動産投資の家賃収入が「500万円未満」
500万円は、経費を差し引いた後の金額ではなく、総額である売上です。
また、実際に貸し付けて、入金された家賃だけではなく、募集をかけている部屋の家賃を含めて計算します。一時的に空室になっている部屋を考慮する必要があります。
礼金、更新料は家賃収入に含めるべきでしょうか?
500万円未満の規定を確認してみましょう。
不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円
人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 第1項関係の4
規定には賃借料と記載されており、不動産所得の決算書は賃借料と礼金、更新料が別立てで記載されているので、礼金、更新料は含めなくてよいことになります。
賃借料と異なり、礼金、更新料は2年に一度発生し、受け取らない場合もあり、それほど重要性がないので、その点でも含める必要はなさそうです。
心配な方は職場に相談した方がよいですが、規定に基づいて判断してくださいという回答になると思われます。
不動産管理を委託
公務員自らが不動産の管理を行うと、業務の遂行に支障を及ぼす可能性が高いので、管理会社に委託する必要があります。
通常であれば、区分マンション、アパートの管理は管理会社に委託するので問題ないですが、戸建ては自ら管理することが多いので、公務員の不動産投資に向いていないということになります。
公務員の不動産投資で許可が認められる場合
上記の3つの条件を満たさない場合には、許可をとる必要があります。
親等が賃貸している不動産を相続したり、転勤等により、住宅ローンのある自宅を貸すことでローンを返済したりする等の突発的な出来事が起こった場合には、自分が不動産投資をしたいわけではないので、許可が得られるとされています。
すでに不動産投資をしており、資産規模を拡大して、規模や金額の基準を超える場合はどうでしょうか?
勘違いしている方もいらっしゃるのですが、規模や金額の基準を超えると直ちにダメというわけではありません。問題がなければ認められる方向の旨が規定には書かれています。
「人事院が定める場合」は、次に掲げる場合とする。
一 不動産又は駐車場の賃貸に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
(1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
(2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
(3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。
人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 第1項関係の5
(2)の不動産管理を委託する条件は、管理会社にお金を払えば管理してもらえるのでクリアできます。
公務員にも財産権や相続権が保障されているので、(1)の利害関係の発生がなく、(3)の職務の遂行に支障がない場合には、規模や金額の基準を超えても認められることになります。
認められない場合には人事院に対して不服の申立てをすることができますが、資産規模を拡大する前に、職場に相談するのが無難です。
公務員が許可を得ずに不動産投資をすると懲戒処分
許可を得ずに、不動産管理を委託してなかったり、規模や金額の基準を超えて不動産投資をしていたりすると、懲戒処分の対象になります。
公務員の不動産投資で懲戒処分を受けた事例をみると、停職6か月や減給(1/3)3か月があります。
勤務中に不動産投資会社、管理会社と頻繁にメールをして、業務に支障をきたすと罰則が重くなる傾向にあります。
公務員として働きながら、業務中に不動産投資に関することをしてはいけません。不動産投資のいいところは、自分が本業で働いている間にも、不動産が稼いでくれるところです。
そして、繰り返しになりますが、規模や金額の基準を超える場合には、もめ事になる前に事前に職場に相談しましょう。