昔から自宅マイホームは持家、賃貸どちらがよいのか議論になります。支払うお金から検討してみたので、迷っている方は参考にしてみてください。
自宅マイホームを持家にする場合
持家のメリット
- 住宅借入金控除の適用を受けることができる。
- 持家という不動産が自分の所有物になる。
- 戸建てに住めば、ある程度うるさくしても隣人を気にする必要がない。
持家のデメリット
- 頭金10、20%を用意して、ローンを返済し、利息を支払う必要がある。
- 固定資産税、都市計画税がかかる。
- 自ら修繕、掃除をしないといけない。
持家の支払うお金
住宅借入金控除の控除率が、1%から0.7%に変わりましたが、依然として、住宅ローンの変動金利は低金利で、0.3~0.7%程度です。税金で利息をカバーすることができます。
住宅ローン4,000万円を金利0.5%、35年で借りると、元利均等返済で、利息を含めたローンの返済額は、年間約120万円になります。
住宅借入金控除のローン残高の上限は、長期優良住宅で4,000万円ですので、毎年28万円(=4,000万円×0.7%)を控除することができます。
住宅借入金控除の適用期間である当初13年は、約90万円(=120万円-28万円)、その後は120万円を支払います。
上記計算は、住宅ローンの利率が変わらない前提です。住宅ローンの元金については、自分の給料などから返済する必要があります。
自宅マイホームを賃貸にする場合
賃貸のメリット
- その時々で住みたい家を選ぶことができる。
- 社宅であれば、自己負担1割程度で住むことができる。
賃貸のデメリット
- 毎月家賃を支払う必要があり、キャッシュ・アウトが生じる。
- 管理費、修繕積立金がかかる。
賃貸の支払うお金
家賃利回り4%の4,000万円の物件では、年間160万円、月々15万円の賃料を支払う必要があります。
社宅として住む場合には、以下の式で計算した金額を負担する必要があり、負担しない場合には、社員に対する給与として課税されます。
種類 | 建物床面積 | 自己負担 |
基本 | (建物の固定資産税課税標準額×10%(木造12%) +土地の固定資産税課税標準額×6%)÷12 | |
小規模住宅 | 132㎡以下 木造99㎡以下 | 建物の固定資産税課税標準額×0.2%×(建物の床面積÷3.3㎡) +土地の固定資産税課税標準額×0.22% |
豪華役員社宅 | 240㎡超 | 通常の使用料 |
小規模といっても、床面積は132㎡もあり、大抵の社宅は小規模です。実際に計算してみるとわかるのですが、家賃に占める自己負担の割合は1割程度になります。
最低ラインですので、会社によっては1割以上の負担を求めている場合もあります。
自宅マイホームは持家ではなく、賃貸にすべき理由
4,000万円の物件に持家、賃貸として住む場合に、支払うお金を整理すると以下のとおりです。
持家 (当初13年) | 賃貸 (社宅) | |
年間 | 120万円 (90万円) | 160万円 (16万円) |
月々 | 10万円 (7.5万円) | 15万円 (1.5万円) |
賃貸は賃料としてキャッシュ・アウトだけが生じますが、持家は住宅ローンを返済するにつれて、元金部分が他人資本から自己資本にふりかわり、本当の意味で自分の所有物になります。
13年住んで、住宅借入金控除の適用が受けられなくなったら、売ることも選択肢の一つです。
所有期間が5年を超えると、譲渡所得の税率は40%から20%に軽減されます。一定の要件を満たすと、3,000万円の特別控除、10年超所有の軽減税率、買替特例の適用を受けることもできます。
ただ、住宅ローンを借りてしまうと、不動産投資ローンの融資枠が減ります。最初は、社宅に住むことで不動産投資に必要なお金を貯めて、不動産投資でお金を増やしていく方が賢明です。
そして、不動産投資によってお金に余裕が出てきたら、住宅ローンで持家を購入し、住んでもよいでしょう。不動産投資の家賃収入から投資ローンを返済し、その残りで住宅ローンを返済することができます。
基本的には、投資の初期はお金を増やすことを考え、お金を生まない持家は後回しです。