区分、1棟アパート、戸建てのメリット・デメリットを整理します。
公務員に限らず、社会人大家としてどれに投資するかは、その人の将来の働き方に応じて、決めるのがよいと考えています。
区分、1棟アパート、戸建てのメリット・デメリット
区分 | 1棟アパート | 戸建て | |
利回り | 低い | 高い | 高い |
物件金額 | 小さい | 大きい | 小さい |
市場流動性 | 高い | 低い | 並 |
評価額 | 低い | 高い | 高い |
頭金・ 初期費用 | 少ない | 多い | 並 |
融資 | 受けやすい | 受けやすい | 受けにくい |
管理 | 委託 | 委託 | 自主 |
利回り
同じエリアが前提ですと、利回りは区分が低く、1棟アパートや戸建てが高いです。
ローンの返済金額にもよりますが、利回りが高いということは、総じて、手元に残るお金が多くなります。
戸建ては、DIYの知識や技術があれば、築古物件を収益物件に生まれ変わらせることで、利回りを更に高くすることができます。
物件金額
物件金額の大きさは、メリット・デメリットの両方をもたらします。
メリットは、家賃収入や手元に残るお金が多くなることです。物件金額に利回りをかけることで、家賃収入の大きさを把握することができます。
1棟アパートは、物件金額が大きく、利回りが高いので、規模の効果により家賃収入や手元に残るお金が多くなります。区分は逆に少なくなります。
デメリットは、物件金額が大きいとローンの金額も大きくなることです。
1棟アパートには複数の部屋があり、多くの部屋で空室が生じると、自ら返済しないといけない金額が増えます。利率変動によって利息の金額が大きくなるリスクも負います。
区分の一部屋に空室が生じても、自分の給料等から返済することができます。
市場流動性
不動産は市場流動性が低いです。金融商品のように、すぐに売却して、換金することができません。
ただ、不動産の中でも、都心の区分は需要があり、市場流動性が比較的高くなります。
1棟アパートは物件金額が大きく、区分や戸建てのように、自ら住むという需要がないこともあり、市場流動性が低くなります。
評価額
区分の土地は一人のものではなく、全ての部屋の所有者のものです。部屋の面積割合に応じて、土地の持分が決まります。
1棟アパートや戸建てに比べると、土地の所有面積が小さくなるので、評価額も下がります。
評価額の低さも、メリット・デメリットの両方をもたらします。
メリットは、評価額が低いと、不動産取得税や固定資産税が安くなることです。特に、固定資産税は毎年発生するので、低く抑えたいところです。
デメリットは、評価額が低いと、ローンの抵当権の評価も低くなることです。
区分をいくつか所有すると、融資の限界がきて、借りれなくなり、返済するまでに時間かかってしまいます。資産規模の拡大ができません。
不動産の資産価値評価には、市場で売り買いされる市場価格、固定資産税評価額、相続税評価額等、いろいろな評価の仕方があります。
頭金・初期費用
頭金・初期費用の多さも、メリット・デメリットの両方をもたらします。
メリットは、頭金を多くいれると、ローンの金額が少なくて済むことです。毎月の返済額が少なくなるので、家賃収入から手元に残るお金が多くなります。
デメリットは、初期費用が多く必要であったり、頭金を入れすぎてしまったりすると、手元のお金が一時的に少なくなってしまうことです。
突発的な修繕等に対応することができなくなります。
2件目、3件目を考えると、次の物件の頭金や金融機関から求められる金融資産として、お金を残しておく必要があります。
特に、1棟アパートは、登録免許税、融資手数料、不動産取得税等の初期費用が多く必要になります。
融資
区分は一部屋で、戸建ても一戸ですが、構造が鉄筋コンクリートと木造で耐用年数が異なるので、耐用年数が短い木造の戸建ての融資には金融機関も消極的です。
1棟アパートも木造ですが、部屋がたくさんあるので、家賃収入が0になる可能性は低いです。戸建ては一戸で、家賃収入が0か1というのも、金融機関が融資に消極的な理由です。
戸建ては、融資を受けても、期間が短く、利率が高いので、利回りが高い築古でないと採算があいません。
管理
区分や1棟アパートは不動産会社に管理を委託しますが、戸建ては自分で管理することがほとんどです。戸建ては自分でDIYをする人が多いので、管理もその延長にあります。
ただ、戸建てでも管理を委託することはできます。
委託すると手間がかからないというメリットがありますが、デメリットは管理手数料が3%、5%程度かかることです。
公務員が不動産投資をする前提条件
公務員が不動産賃貸を兼業するには、2つの条件があります。
1つは、5棟10室未満で家賃収入が500万円未満です。
都心は家賃が高いので、5棟10室未満を満たせば、家賃収入が500万円を超えることはほとんどありません。
もう1つは、不動産管理を委託することです。
詳しくはこちらの記事に書いています。
結局、公務員は区分、1棟、戸建て、どれが最適なのか?
公務員として定年まで働き続ける場合には、融資のリスクが大きい1棟よりも、区分の方がよいでしょう。
区分を2,3戸購入し、定年までにローンを返済すれば、年金に上乗せされた20、30万円の家賃収入を得ることができます。
物件金額が小さく、市場流動性が高いので、初心者が不動産投資を始る物件としても区分はよいといえます。管理も楽です。
公務員を辞めて、別の仕事をしたり、お金を貯めて他に何かしたいことがあったりする場合には、区分よりも1棟アパートの方がよいでしょう。
お金の貯まる速さが、区分や戸建ての比になりません。
その分、ローンの金額が大きくなるので、融資のリスクが高くなります。物件選びと返済計画が大切になってきます。
戸建てはDIYの知識や技術が必要ですし、DIYの知識や技術によって、収益率がよくなるとしても、戸建て一戸の家賃収入がよくなるに過ぎません。
戸建てを複数保有すればいいのではと思われるかもしれません。
ただ、実際に不動産投資をしてみるとわかるのですが、物件選びから実際に購入するまでには労力がいります。戸建て一戸とアパート1棟はそれほど変わりません。
私が今のところ戸建てに投資をしないのは、費用対効果を考えると、手間がかかるわりに、得られるお金が少ないからです。