不動産投資で物件を買う際に、初期費用とは別に、融資を受ける場合には頭金が必要になってきます。
頭金の金額は、本人の裁量により決められる部分もあり、いくらにすべきか悩むところです。
不動産投資の融資で頭金はいくらか?
頭金は、融資を受けるに当たって、金融機関から求められるお金です。
ワンルームでは最低10万円、1棟アパートでは最低5~20%が頭金の目安になります。1棟アパートでは一部フルローンで融資を受けられる場合もあります。
頭金は金融機関、物件によって変わってきますが、それは最低限の金額であり、本人の裁量によりそれ以上の金額を払うこともできます。
頭金をいれるほど手元の現金は一時的に減りますが、毎月の家賃収入から手元に残る現金は増えていくという二律背反の関係にあります。
それでは、頭金は一体いくらにすべきなのでしょうか。
【1つの物件を考えた場合】不動産投資の融資で頭金はいくらにすべきか?
1つの物件だけを考えると、基本的には、頭金をできるだけいれて、毎月の家賃収入から手元に残る現金を増やします。
頭金を多くすると、家賃収入から手元に残る現金は増えますし、余分な利息を払わずに済みます。
例えば、2,000万円を35年1.6%で借りるとすると、総返済額は2,613万円になり、613万円も利息を支払うことになります。
ただ、以下のケースが想定されるため、本業の給与収入からでも、家賃収入からの手残りでもかまいませんが、ある程度の現金を貯めておくべきです。
ワンルーム | 1棟アパート | |
大規模修繕 | 修繕積立金として 家賃収入から 引かれるので不要 | 必要 |
空室補てん | 必要 | 返済比率(元金・利息÷家賃収入) が低い場合には 一部屋等の空室には 耐えられるので不要 |
築20年で大規模修繕をしてないような1棟アパートについては、大規模修繕のために平均的な規模で200万円程度の現金を貯めておく必要があります。
ワンルームは部屋が1つだけで、空室になれば家賃収入がゼロになるので、空室を補てんするための現金を貯めておく必要があります。
入居割合が90%以上を前提とすると、2年契約である場合には、空室が2月(91%(=22月÷24月))までならその割合を満たすことになります。
ワンルームの家賃が10万円である場合には、2か月分の家賃20万円を現金として貯めておく必要がありますが、余裕をもって50万円程度は貯めておきたいところです。
ワンルームは1棟アパートに比べると利回りが低いので、ある程度の頭金をいれないと、毎月の手元に残る現金は増えません。
ローンの元金の返済部分が、目に見えないかたちで資産として増えているからといっても、手元に残る現金が増えていかないと、不動産投資に対するモチベーションが下がります。
【複数物件を考えた場合】不動産投資の融資で頭金はいくらにすべきか?
複数物件の購入を前提とすると、頭金を抑えて、できるかぎり手元に現金を残しておくことが大切です。最低ラインであるワンルームが10万円、1棟アパートが5~20%になります。
目の前の1つの物件に現金をつぎ込んでしまうと、次の物件の頭金、初期費用を払うことができません。
また、現金残高は金融資産として融資の審査基準になるので、手元に現金がないと次の物件の融資が受けられなくなります。
土地値に近い1棟アパートはフルローンで融資をしてくれる金融機関もありますが、金融資産が1,000万円程度も求められます。
今のように低金利で融資が受けられる時代は、積極的に融資を受けて、イールドギャップ(家賃収入利回り-融資利率)の差からローンを返済しても、手元に現金が残ります。
私がこれまでの不動産投資で後悔しているのは、安全面を考慮し過ぎて、頭金を多くいれたことです。手元に現金を残しておけば、後からでも頭金ではなく、繰上返済というかたちで対応することができます。
不動産投資で資産規模を拡大するなら、初期の段階で手元に現金を残しておき、積極的に融資を拡大して物件を購入していく方がいいと言えます。
ただ、融資をそれだけ受けるということは、融資の返済リスクや利率変動リスクを負うので、将来的な収支計算を確実に行った上で、十分に返済できる確信がなければ、初期の段階での積極的な融資拡大は避けるべきです。
他にも、ワンルームは頭金をいれないと手元にお金が残らない点と、土地が共有持分ですので、金融機関からの評価価値が低く、数戸で融資限度がくる点を配慮しないといけません。