不動産投資のリスクで大きいものが、空室リスクと金利変動リスクです。
空室リスクは何より物件選びにつきます。金利変動リスクは経済情勢が絡んでくるので、よめない部分が多いですが、事前に準備はできます。
不動産投資ローンの変動金利はどのように決まる?
変動金利は、銀行が短期プライムレートと呼ばれる金利にコストや利益を上乗せして決めます。
銀行によって上乗せするコストや利益は変わりますが、変動金利は短期プライムレートに連動しています。
短期プライムレートは、銀行が優良企業に貸し出す借入金のうち、1年以内に返済を受ける借入金の金利をさします。
短期プライムレートは、銀行が扱っている他人に譲渡可能な譲渡性預金(CD)等の市中金利に連動しており、日銀の金融政策の影響を受けます。
日銀が物価上昇を目標に金利を抑えていると、市中金利は上がらないので、日銀の動向を注視しておく必要があります。
変動金利が上がるということは、物価も同時に上がっており、それに伴って家賃も高くなれば返済原資も増えるといったプラス要素もあります。
変動金利の推移から最大リスクに備える
過去の変動金利の推移を確認して、金利がこれくらいまで上がる可能性があることを認識しておくことが大切です。
現時点でその金利でローンの返済額を計算してみて、返済することが可能であるなら、金利変動リスクにも十分対応することができます。

平成のバブル景気で8%まで上がり、その後バブルが崩壊して1%まで下落し、平成7年から約30年間は1%代で推移しています。
当面は1%代が続きそうですが、今後8%まで上がる可能性が絶対にないとは言い切れません。
バブル景気のときは不動産価格も上がって含み益が大きくなりましたが、不動産投資ローンの金利も10%まで上がりました。
金利が10%まで上がっても家賃収入から返済できるように、毎月の家賃収入に占める元金返済と利息の合計の割合を低くして融資を受けることです。
そして、低金利で融資を受けることも必要ですが、低金利のうちに積極的に繰上返済して負債比率を低くし、10%の金利をできる限り払わないようにすることも大切です。
変動金利のセーフティールールである「5年ルール」と「1.25倍ルール」
ローンを「元利」均等で返済している場合には、変動金利が上がることによって、急激な負担の増加を避けるために、5年ルールと1.25倍ルールが適用されます。
「元金」均等で返済している場合には、元金を毎月一定で返済したいという趣旨であるため、これらのルールの適用はありません。
5年ルール
変動金利は半年に一回見直されますが、変動金利が上がっても、返済額が急に増えるわけではありません。
変動金利が上がっても、5年間は返済額が変わらないという決まりになっています。これを「5年ルール」と呼んでいます。
ただ、気をつけないといけないのは、返済額は変わりませんが、利息の金額が増える分、元金の返済額が減ってしまうことです。
変動金利が急に上がると、元金の返済額が少ない場合には、利息がローンの返済額を越えることによって未払利息が生じます。
未払利息が蓄積すると、元金の返済がなかなかできない状態に陥ります。
できるだけ低い金利の融資を受けるとともに、繰上返済により返済期間を短くすることが大切です。
1.25倍ルール
5年ルールによって、返済額は5年間変わらずに6年後に増えます。
変わる場合でも、返済額は1.25倍までしか増えないという決まりになっています。これを「1.25倍ルール」と呼んでいます。
変動金利から固定金利への変更のタイミング
変動金利よりも固定金利の方が先に上がると言われています。固定金利は将来の景気を見通して決められるからです。
固定金利は10年物国債利回りに連動しています。短期プライムレートと10年物国債利回りを重ねてみます。

平成のバブル期は、10年物国債利回りが先に動いて、バブルと崩壊を迎えています。その後は短期プライムレートの方が先に動いて、1%代まで下がっています。
10年物国債利回りが上下するボラティリティーが大きくなると、気を付けた方がいいかもしれません。
変動金利の低い金利の恩恵を受けていると、それよりも高い固定金利に変更するのを躊躇してしまいます。
10年物国債利回りが激しく上下し始めると怪しいと感じ、事前に固定金利が●%になったら、変動金利から固定金利に変えると決めておくことが必要です。