現役国税調査官が語る!不動産投資家が最初にやるべき節税は開業費

現役国税調査官が語る!不動産投資家が最初にやるべき節税は開業費 不動産投資節税

不動産投資家個人、サラリーマン大家が、不動産所得に反映できる節税は限られています。

まず最初に考えるべき節税は開業費です。開業費は不動産投資を始めようとした時から発生します。

不動産投資を始めようとした時に、節税を考えている人は多くないので、意識しないと拾い漏れが生じます。

不動産投資の開業費とは

開業費は「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定義されています。

開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)

所得税法施行令7条1項1号

「事業を開始」とは、不動産投資においては、新築は募集などで賃貸を始めようとした時です。

すでに入居者がいるオーナーチェンジの中古物件は、引渡しを受けた日になります。

「開業準備のために特別に支出する費用」はあまり意識する必要ありませんが、賃貸を始めるに当たって生じた必要経費です。

いつからとは書かれていませんが、不動産投資を始めようとした時からです。

常識的に考えると一年程度の範囲内で、それを超える経費は目立つので、明確に必要経費であることの理由をもっていた方がいいでしょう。

ちなみに、私は不動産投資を始めようとした時から中古物件を買うまで半年程度かかりました。

不動産投資の開業費の例

  • 不動産投資に関する書籍の購入代金
  • 不動産会社、金融機関との打合せに要する交通費、食事代等
  • 不動産会社、金融機関へのお土産代
  • 不動産投資の相談料
  • 物件の現地確認に要する交通費等

不動産投資と書いていますが、物件を買って賃貸を始めるに当たって必要な経費です。

開業費の仕訳

事業を開始してないので、それ以前に仕訳に反映することができません。

事業を開始した日にまとめて仕訳をきる必要があります。

例えば、事業を開始した日が2月1日で、その年に償却したとすると、仕訳は以下の通りになります。

2/1開業費100事業主借1001/10書籍
2/1開業費200事業主借200
1/20打合せ
12/31減価償却費300開業費300
※任意償却ですので、300以内で償却しなくても可

または、2/1にまとめて一行の仕訳をきり、明細を別紙にしておくこともできます。

不動産所得の決算書の「減価償却費の計算」に記載を忘れないようにしてください。

不動産投資で開業費が節税になる理由

開業費は不動産投資を始めようとした時からの支出ですので、拾い漏れが多くなります。

1つ1つは小さい金額ですが、集めるとそれなりの金額になります。

領収書等を保存するとともに、打合せや現地確認をいつ行ったかを記録して、覚えておく必要があります。

また、開業費は任意償却で、いつ経費にしてもよいので、利益を操作しやすいといったメリットもあります。

不動産投資で開業費はいつ償却して経費にすべきか

1期目に開業費償却で経費計上

1期目は、登記費用、登録免許税、融資手数料等の初期費用がかかり、不動産所得はマイナスになります。

開業費を償却して経費を計上すると、不動産所得は更にマイナスになります。

不動産所得のみを有する不動産投資家個人は、青色申告であれば、そのマイナスを欠損金として繰り越し、2期目以降の不動産所得の黒字と相殺することができます。

サラリーマン大家は、給与所得と相殺して、税金の還付を受けることができます。

2期目以降に開業費償却で経費計上

2期目以降は新たな物件を買わない限り、基本的には、不動産所得は黒字になります。

不動産所得のみを有する不動産投資家個人は、不動産所得の黒字と相殺することができますが、1期目の欠損金を繰り越して相殺するケースと効果は変わりません。

サラリーマン大家は、不動産所得の黒字と相殺することで、納める税金を少なくすることができますが、1期目により多くの税金を取り戻すか、2期目以降に納める税金を少なくするかの違いです。

結論として、開業費はいつ償却して経費にすべきか

お金の時間的価値が違うので、節税はできるだけ早くした方がよいというのが基本的な方針です。

一方で、不動産投資では、長期的な視点から、納める税金を平準化させることも大切です。還付された税金を次の納税にとっておこうと考える人はほとんどいません。

2期目の不動産所得の黒字と相殺することで納める税金を少なくして、2期目に納税の負担を少しでも軽くすることをおすすめします。

ただ、開業費は減価償却費に比べて金額が大きくありませんし、1期目と2期目とではそれほど時間的には変わらないので、償却のタイミングをいつにするかをぎりぎりと考えなくてもいいでしょう。

それよりも、開業費の拾い漏れがないように注意してください。

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