税務調査の連絡がきて、まず最初にやるべきことは、提出した申告書、決算書の内容を確認して、誤りがあれば、修正申告をすることです。
税務調査が行われ、調査官に指摘されると、加算税10%がかかります。
それが「調査通知」の前は0%、調査官に指摘されまでは5%になり、加算税を減らすことができます。
調査通知と事前通知の違い
税務調査で加算税を考える上で、「調査通知」と「事前通知」という言葉を知る必要があります。似たような言葉ですが、通知事項と効果が異なります。
通知事項は以下の通りです。
通知事項 | 調査通知 | 事前通知 |
①調査の旨 | ○ | ○ |
②調査開始日時 | ○ | |
③調査場所 | ○ | |
④調査目的 | ○ | |
⑤調査対象の税目 | ○ | ○ |
⑥調査対象の期間 | ○ | ○ |
⑦調査対象の帳簿書類 | ○ |
①は言葉通り調査をする旨、④は申告内容の確認、⑦は帳簿書類等と定型文言になります。⑤と⑥は、税目と決算期で調査官の方で事前に決めています。
②の開始日時は、納税者や税理士と日程調整の上決めます。
効果は、「調査通知」によって加算税5%がかかること、「事前通知」によって実地調査を行うのが可能になることです。
加算税が5%になる段階
「事前通知」の効果を加算税5%とにすると不具合が生じます。
通常の税務調査は納税者に事前に電話で連絡します。最初の連絡で、「事前通知」として、7つの事項の全てを通知することができればよいのですが、1つだけ通知することができません。
②の開始日時だけは、最初の連絡で伝えることができません。納税者や税理士に予定があるので、日程調整をしてもらい折り返しの連絡を待って、通知する必要があります。
折り返しの連絡を待ってから、7つの事項の全てを通知していると、その間に修正申告をされれば、加算税が0%になり、かからないことになります。
そこで、「調査通知」として、上記3つの事項に絞って納税者に通知することによって、それ以降は加算税を5%とすることにしました。
最初の連絡で、調査官から3つの事項が必ず通知されるはずです。
加算税が5%から10%になる段階
「事前通知」によって、実地調査が始まってからすぐに加算税10%がかかるわけではありません。
実地調査が行われても、更正が予知されるまで加算税は5%のままです。更正が予知されるときとは、調査官が問題点を繰り返し確認し、指摘するまでです。
判例では「調査官が適正でないことを確認し、修正になるであろう客観的に相当程度の確実性が認められる段階」としています。
加算税を軽減する理由は、判例によると、自発的な修正申告の歓迎・勧奨です。
加算税を払わないためにすべきこと
加算税を払わないためには、税務調査に関係なく、普段から申告書や決算書の内容を確認しておくことです。
「調査通知」によって、決算期と税目が通知されることになるので、対象となる決算期をしっかり聞いてください。
対象となっていない決算期であれば、修正申告をしても加算税はかかりません。
加算税5%軽減のためにすべきこと
申告書や決算書の内容に誤りがある覚えがあれば、修正申告を検討すべきです。調査官や調査部署によって対応を変えることもできます。
調査で気付かれず、税務調査が終われば、加算税はかかりません。しかし、中小企業や個人事業主は取引がそれほど多くなく、税務調査でしっかり見られことを考えると、指摘されるリスクをとらない方が懸命です。
調査官に指摘されれば10%、それ以前に修正すれば5%と加算税は半分になり、メリットは大きいです。
実地調査までは、一連の取引の流れを確認して、仕訳帳や総勘定元帳帳に反映されている勘定科目や数字が適正かどうかを見直してください。
特に、決算期末は、当期に計上すべき売上が翌期に計上されていたり、翌期に計上すべき経費が当期に計上されていたりして、時期のズレによる誤りがあるので注意が必要です。
会社が一年間行ってきた取引を数日の税務調査で確認するなら、調査官は、通常、決算期末の取引から確認するのが普通です。