現役国税調査官が語る!国税局調査部の調査

現役国税調査官が語る!国税局調査部の調査 国税調査官

国税局調査部の調査能力は、国税組織の中で最も高いといえます。

国税局調査部とは

調査部は資本金が1億円以上の大きな会社を調査する部署です。全国の国税局に調査部はあります。

東京国税局の調査部は1部から4部で構成されています。

国税庁「東京国税局の機構」

調査部は外国法人の調査もしますが、内国法人を調査する主な部署は、1部の特別国税調査官と、2部から4部にある調査部門になります。

特別国税調査官は役職名で、略称で特官と呼ばれていますが、特官1人で調査をするわけではなく、主査と調査官を含めた1つの班で調査をします。班は20程度あります。

特官は皆さんがご存知の著名な上場会社を調査します。

2部から4部にある部門は、それぞれ16部門あり、業種ごとに会社を管理し、調査をしています。

部門は統括国税調査官を筆頭に、主査と調査官で構成されています。統括国税調査官は略称で統括官と呼ばれています。主査と調査官はそれぞれ3,4人いるので、ペアで調査をします。

調査部の特官、統括官は税務署の署長と同じ地位です。署長が班や部門を束ねて調査をするので贅沢です。

1つの班は約5人いるので100人(20班×5人)、1つの部門は約10人いるので約500人(3部×16部門×10人)、約600人いることになります。

外国法人を調査する部署、審理をする部署やバックオフィスを含めると調査部は約1,000人体制で調査に臨んでいます。

国税局調査部の調査は税収に影響する

国税庁が公表している法人税の調査事績によると、調査部の調査件数はわずか2,3%に過ぎないのに、所得、法人税ともに1/3超を占めています。

全体内調査部割合
調査件数41千件1,106件2.6%
所得6,028億円2,268億円37.6%
法人税1,438億円509億円35.3%
1件当たり
所得
14,788千円205,082千円
1件当たり
法人税
3,528千円46,018千円
令和4年12月国税庁「令和3事務年度 法人税等の調査事績の概要」

調査部が1つの会社を調査をすると、所得2億円の誤りが指摘され、法人税4,500万円が追徴されるということになっています。

法人税の税収も、調査部が調査の対象としている会社の法人税がほとんどを占めています。調査部は税収の大きな会社を相手にしているのです。

国税局調査部は調査能力が身に付く

東京国税局には、他にも会社を調査をする部署として、課税一部の資料調査課というところがあります。

資料調査課は税務署の法人の中から、悪質なことをしている資料や情報がある法人を優先して調査することができます。

そういった会社を相手にしている影響もあるのか、資料調査課は上下関係を重んじ、体育会系の部署と言われています。体力や精神面での気力が必要です。

資料調査課は事前に悪質なことをしているという目星がついている会社を調査します。調査部が相手とするコンプライアンスがしっかりしている上場会社とはわけが違います。

稟議を通ったいくつもの取引の中から不審な取引を探すには、さまざまな知識はもちろんですが、調査の知力やセンスが必要になってきます。

会社が大きくなるにつれて、輸出する等海外取引が多くなり、海外支店、子会社を設立します。聞いたことがあるかもしれませんが、外国子会社合算課税、移転価格課税等を国際課税を検討します。

調査部で調査を経験すると、高度な調査能力を身に付けることができます。

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