公務員である国税専門官として働くのも悪くはありません。
国税専門官は公務員で給料が安定
企業一社の給与水準は、その企業の売上や景気に左右されます。
国税専門官は国家公務員で、給与水準は民間企業の給与と均衡が図られていますが、民間企業一社ではなく全体です。景気に左右されるといっても、わずかであり、安定した給料がもらえます。
公務員は身分が保障されているので、問題を起こさない限り、リストラされることはありません。普通に働いていれば、徐々に昇進して給料が上がっていきます。
定年まで働き続けると、退職金も2,000万円はもらえます。
税務調査を通して業種業界に精通
税務署の法人課税部門や国税局の調査部では、業種ごとに会社を管理しています。
同じ業種ごとに会社を管理し、調査するので、その業種業界を詳しく知ることができます。その業種業界に特化した法人の調査方法を習得することができます。
調査の際に、税務署では代表者、国税局では経理部長とやりとりをすることが多くなります。
調査部では、調査の初日に統括官(税務署の署長と同じくらいの役職)が同行して、会社に挨拶に行くので、上場会社の取締役等が顔を出すこともあり、貴重な話を聞くことができます。
調査では、その会社を知ることができるのはもちろんですが、同業他社の話を聞くこともあります。
国税専門官として働かなければ、経験することができません。
国税組織や税務行政の内情がわかる
国税専門官として働くと、税務署、国税局、国税庁の組織がどうなっているかを知ることができます。職員が5万人いる巨大な組織です。
税務行政は一年ごとに動いており、どのような流れで一年間、職員が働いているのかを知ることができます。
税務調査ではどうしても白黒はっきりしないグレーの問題点が出てきて、訴訟にいたるケースもあります。
国税専門官になる最大のメリットは、グレーの問題点に対して、当局とのかけひきや否認される程度を知ることができることだと私は思っています。税理士になった時に生かされます。
確定申告の時期は、国税局から税務署に職員を派遣し、課税系統に関係なく職員総出で確定申告の事務に当たります。
確定申告では、納税者からの相談に対応するだけでなく、申告書の審査をするので、審査箇所や審査基準を知ることができます。国税専門官として、確定申告の事務に携わらなければ、わからないことです。
国税専門官採用後に多くの税務研修を受講
国税専門官として採用されてから、長期間にわたって簿記や税法の研修を受講します。
研修 | 期間 | 内容 |
専門官基礎研修 | 3か月 | 簿記、税法 |
専攻税法研修 | 2か月 | 税務調査に係る実務 |
専科研修 | 7か月 | 簿記会計学、 (個人、資産、法人、徴収 の課税系統にごと)税法 |
簿記や税法の講師は、著名な大学の教授であったり、国税組織で税務の経験を積んできた上司(副署長~署長クラス)です。
研修のゼミでは、実際にあった判例を事例にして、課税庁と納税者に分かられて討論し、実務にあったかたちで税法を学びます。
全国の税務署から、同期に採用された国税専門官が集まって、研修を受けるので、多くの同期と仲良くなります。研修後も仕事やプライベートを通じて、連絡を取り合うこともあります。
これらの研修は、国税専門官として働く上で必要な知識を習得する場であり、仕事の一環として行われます。
給料を受け取りながら、簿記や税法の勉強をすることができるなんて、国税専門官が働く職場は恵まれています。
国税専門官23年勤務で税理士資格を取得
国税専門官として23年間働くと、税理士試験が免除され、税理士の資格を取得することができます。
かつては、退職する際に職場から顧客の斡旋を受け、退職後も税理士として苦労なく、収入を得ることができました。
今は、国税OBだからといって、税理士として働くことがうまくいく時代ではありません。23年経っても国税専門官を辞めて税理士になる人は少なく、税務署長ですら再任用職員として働くことを選ぶ時代です。
公務員である国税専門官として働いていれば、それなりの給料がもらえます。それ以外の大きな理由は、一定の年齢を過ぎると、行動力が衰え、自ら営業する力がなくなるからです。
税務署職員は税理士試験の会計や税法の科目を勉強して、合格することの大変さを経験していないので、税理士の資格の貴重さがわかりません。
税理士の資格を取得することができるのは、国税専門官になる大きなメリットです。
国税専門官のプライベートは充実
国税専門官は各国税局で採用されて、中には国税庁や財務省に異動する人がいますが、ほとんどは税務署と国税局で働いています。
税務署や国税局の調査をする部署の残業は少なく、定時に帰れることがほとんどです。ただ、国税局の総務、人事、管理、企画等のバックオフィスは忙しいです。
国税専門官は採用後、税務署で働きますが、プライベートを重視して、国税局等に異動せずに、税務署で働き続けることを希望する人もいます。
年末年始、夏休み、ゴールデンウイークには積極的に休みをとることはもちろんですが、その他にも、月1の有給休暇の取得が推奨されています。
国税専門官のプライベートは充実しています。