税務署職員(国税専門官)の職場は本当に体育会系(パワハラ)か?

税務署職員(国税専門官)の職場は本当に体育会系(パワハラ)か? 国税調査官

ネット上には、国税専門官の職場は体育会系で、パワハラが黙認されているといったことが書かれています。

実際のところ、どうなのでしょうか。税務署、国税局、国税庁で働いたことのある現役国税専門官が、職場の状況について本当のことを書きました。

体育会系の定義

まずは体育会系の定義が必要です。

体育会とは、運動部員のような気質・雰囲気があること。先輩・後輩の上下関係に厳しく、強い精神力を重視することなどにいう。

広辞苑

体育会系には、以下のような要素があるように思います。

  1. 肉体的な労働
  2. 残業が多い
  3. 上下関係が厳しい
  4. パワハラ

肉体的な労働はほとんどない

税務署では、事務年度末の6月末に、一週間程度、職員総出で編てつ作業をします。

編てつ作業は、届出書や申告書がつづられている納税者ごとのファイル(税歴簿)に、その年に提出された届出書や申告書をつづり、期限が過ぎた申告書を抜く作業です。

税歴簿は税務署の耐火書庫にあります。納税者の数だけ、税歴簿があるので、耐火書庫から一気に出すことはできず、出してきて、閉まっての繰り返しの作業です。納税者によっては、今までの届出書がたまり、申告書が厚いと、税歴簿がかなりの重さになります。

しかも、耐火書庫にエアコンはついておらず、梅雨のむし暑い時期に編てつ作業をします。

国税専門官の肉体的な労働は編てつ作業くらいです。

編てつ作業をしないといけないのは、電子化によって管理していない行政に問題があります。納税者の数を考えると、届出書や申告書を電子で保存することができるサーバー量が限られているのかもしれませんが、解決しないといけない問題です。

公務員だけど残業が多い部署はある

圧倒的に残業が多いのは国税庁で、部署に関わらず、忙しいです。今はわかりませんが、私がいた5年前は、残業時間60時間が普通で、80時間のときもありました。

病んでしまう人もいたみたいで、厚生課が職員と面談して、メンタルケアをしていたくらいです。

理由は人が少ないことにあります。全国にある国税局をとりまとめているにも関わらず、人が少なく、それでも人を増やそうとしない国税組織に問題がある気がします。

国税局では、主務課と呼ばれる、税目が頭に付く法人課税課等は、税務署をとりまとめているので忙しいです。国税局の各部署の、総務、管理等のバックオフィスも、各部署をとりまとめているので忙しいです。

残業が多い部署で働くことは悪いことだけではありません。残業代によって毎月の給料はボーナスと同じくらいになります。後は出世をします。仕事が好きな人は希望をしてよいかもしれません。

国税組織にも上下関係が厳しい部署がある

社会人である以上、上司と部下との関係を認識する必要はありますが、厳しい上下関係は一歩間違えればパワハラにつながります。

国税組織でも上下関係が厳しい部署があります。査察部と、料調と呼ばれる資料調査課です。

聞いたことがあると思いますが、査察部はマルサと呼ばれ、大口で悪質な脱税をしている納税者を強制調査する部署です。資料調査課は税務署では調査できないような悪質な納税者を調査する部署です。

両方に共通する点は、悪質な納税者を相手にしている点です。そのような納税者を相手にしていると身内にも厳しくなってよいわけではありません。

査察部は国税局にある部署で、税務署で経験してからの異動になります。そういう実情があるので、査察部を希望する人がいなくて、困っているそうです。

資料調査課は軍隊と呼ばれ、他部署の偉い人が来ると、仕事を中断して職員総立ちで、迎えます。このご時世どうなんだといった感じです。

ここでは書けないようなこともあります。部署として改革をして欲しいと個人的には思っています。

国税専門官の職場でパワハラは許されていない

国税組織でパワハラは黙認されていません。

上司との面談で、パワハラを受けていないかどうかと聴かれます。自分は受けていなくても、周囲の状況で気づいた点についても聴かれます。上司に言えなくても、パワハラ相談の窓口もあります。

また、パワハラに関する研修も頻繁に行われ、公務員のパワハラによって懲戒処分を受けた事例も回覧され、抑止されています。

私が15年前に税務署で働いていたときは、パワハラをするような上司もいましたが、それは民間企業でも同じであったように思います。今はパワハラが許される時代ではなくなりました。

国税専門官になりたい人は、パワハラについては心配ぜず、安心してきてください。私は国税専門官の仕事場は素晴らしいと思っています。

ただ、上下関係が厳しい部署はありますが、査察部等に異動する場合は事前に聴かれます。そのような部署を希望しなければ、ほとんど異動することはありません。

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